kimi
現代社会の影とも言えるうつ病は、多くの人々の心を蝕み、苦しめています。厚生労働省の調査によると、20歳以上の国民の約5人に1人が一生のうちにうつ病を発症すると言われ、もはや他人事ではなく、誰にでも起こり得る身近な病気となっています。
訪問看護師は、うつ病患者さんの療養生活を支え、社会復帰を支援する重要な役割を担っています。単に医療行為を行うだけでなく、患者さんの心の拠り所となり、寄り添い、共に歩む存在です。
本記事では、うつ病の症状や原因、治療法、看護師の体験談や、患者さんへの具体的な支援方法などを詳しく掘り下げ、理解を深めていきます。
1. うつ病の症状:心の深淵を理解する
Dr
うつ病の主な症状は、気分の落ち込み、無気力、集中力の低下、不眠・過眠、食欲不振・過食、罪悪感・自己否定、死への思いなどです。しかし、これらの症状は人によって程度や現れ方が異なり、一見うつ病とは気づきにくい場合もあります。
- 気分の落ち込み: 憂鬱な気分が2週間以上続くのが特徴です。理由もなく悲しく、何もやる気が起きない状態が続きます。
- 無気力: 何に対してもやる気が起きず、活動が低下します。趣味や仕事、家事など、これまで楽しみや義務感を持っていたことすら、億劫に感じるようになります。
- 集中力の低下: 考えごとや読書、仕事などに集中することが難しくなります。頭の中がぼんやりとして、思考がまとまらない状態になります。
- 不眠・過眠: 眠りにつくのが難しくなったり、朝早く目が覚めてしまったり、逆に長時間寝てしまうなど、睡眠パターンが乱れます。
- 食欲不振・過食: 食欲が減退したり、逆に食べ過ぎてしまうなど、食欲の変化が現れます。
- 罪悪感・自己否定: 自分自身を責めたり、価値がないと感じたり、自己否定的な考えに囚われます。
- 死への思い: 生きる希望を失い、死について考えるようになります。最悪の場合には、自殺企図に繋がることもあります。
これらの症状に加え、身体症状として頭痛や倦怠感、便秘などが現れることもあります。また、うつ病になると、思考力や判断力、記憶力などが低下する認知機能障害が現れることもあります。
2. うつ病の原因:心の闇に潜む要因
うつ病の原因は、完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質の異常、遺伝的な要因、ストレス、トラウマなどが関係していると考えられています。
- 脳内の神経伝達物質の異常: セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質のバランスが崩れると、うつ病の症状が現れると考えられています。
- 遺伝的な要因: うつ病は遺伝の影響を受けると考えられています。家族にうつ病患者がいる場合、発症リスクが高くなります。
- ストレス: 長期的なストレスや強いストレスは、うつ病の発症リスクを高めます。
- トラウマ: 幼少期の虐待やいじめなどのトラウマ体験は、うつ病の発症リスクを高めます。
これらの要因が複雑に絡み合い、うつ病を発症すると考えられています。
3. うつ病の治療:心の光を灯す
うつ病の治療は、薬物療法と心理療法が主な柱です。
- 薬物療法: 抗うつ薬などの薬を用いて、脳内の神経伝達物質のバランスを整えます。
- 心理療法: 認知行動療法や対人関係療法などの心理療法を用いて、思考や行動のパターンを変え、症状を改善します。
近年では、うつ病の治療法として、電気けいれん療法(ECT)や脳磁気刺激療法(TMS)なども用いられています。
4.訪問看護師の役割
うつ病の方への看護では、以下の点に重点を置きます。