―「なんか気持ち悪い…」に宿る成長のサイン
「なんかさー、ダメだとは思うんやけど…最近“おじさん”が苦手というか…。
気持ち悪いって言ったらあかんけど、近くに来られたら、ううう…ってなるねん…」
ある日、習い事の帰り道、娘がぽつりとつぶやいた一言。
私はハッとしながらも、「ああ、ちゃんと“年頃”を生きているんだな」と心の中で拍手を送りました👏
彼女のこの感覚――実は思春期においてごく自然で健康な心の反応です。
■ 思春期に芽生える“身体的境界”と違和感
思春期の子どもは、心と身体の変化の中で「自分のテリトリー(心身の境界)」を急速に意識しはじめます。
特に女の子は、性的な意味を含んだ他者の視線や距離に敏感になり、時に“気持ち悪い”“近寄らないでほしい”という感覚を抱くことがあります。
これは防衛反応であり、自分の心身を守るために備わった大切な感覚。
一時的に異性(特に父親世代の男性)に違和感を持つのは、アイデンティティの確立過程でよく見られる現象です。
発達心理学でも、この時期の女子は“自己と他者の境界”を確立する過程で、身体感覚が鋭くなり、無意識に距離をとることでバランスを保とうとする傾向があるとされています。
■ 感じたことを言語化できる力
今回、私が何より嬉しかったのは、「気持ち悪い」と感じたことを、娘が自分なりの言葉で整理して話してくれたこと。
恥ずかしさや罪悪感と向き合いながらも、モヤモヤを誰かに伝えるというのは、非常に成熟した行動です。
『さみしい夜にはペンを持て』の中でも、“言葉にすることで心の輪郭が見えてくる”ということが語られています。
感じたことを隠さず伝える。
それだけで、娘はすっとした表情で「言ってスッキリしたわ」と笑っていました(`・ω・´)b
■ 親にできることは“正しさ”より“共感”
こういうとき、親として大切にしたいのは「それは間違ってるよ」と訂正するのではなく、
「それ、普通の感覚やで。そういうふうに感じる時期なんやわ」と共感のまなざしを向けること。
正しさでコントロールするのではなく、受け止めること。
それが、思春期の不安定な自己像を支える土台になります。
思春期は、自分を守りながら、他者とどう関わるかを模索する旅路。
娘がそのプロセスを、言葉を使って丁寧に歩もうとしていることを、私は誇りに思います^^